偶像化しないアイドル~24時間Ustを見て

いわゆる「アイドル」というのは、Wikiでは「日本の文化において『アイドル』と言うと、芸能産業で働いている人のうち、あこがれの的となっているような人、『可愛い』(あるいは『かっこいい』けれど(若くて)『かわいい』)などと感じられている人のこと」と定義されています(http://tinyurl.com/pl83mbf )。
「アイドル」の語源は「偶像=idol」であり、本来は目に見えない崇拝の対象を具現化された「像」として形作られたものをさします。日本における「アイドル」と呼ばれる女性については、暗黙のうちに「純真無垢」「恋愛をしない」 「男を知らない」などのイメージを保持することが求められているように思います。「トイレに行かない」とかいうのは別にして、AKBなどが今でも「恋愛禁止」とか言っているのも、そういうことだと思います。
いわば「擬似恋愛」の対象としてのアイドルであり、「疑似恋愛」の対象として「こうあって欲しい」というファンのニーズを、ひとりもしくはグループのキャラクターとして偶像化しているのではないかと思います。

そんななか、ももクロは「アイドルらしからぬアイドル」であり、トイレに行く話も普通にしますし、「ももクロChan」という番組などを通じて他の「アイドル」に比べれば、かなり素に近い姿を公然と公表し、それをファンも楽しむという図式ができています。
そんなことはわかっていて、24時間ずっとカメラが密着し表も裏も全部見せます的な生配信だということもわかっていて、今年で3回めになる「24時間Ust(実際には1時間延びて25時間でしたが)」を見たわけです。それでもちょっとビックリしたシーンがありました。

プロデューサ自らがビールを勧めた!

9月25日の夕食は、ジンギスカンを囲んでメンバーやスタッフが食事をするシーンが流されたわけですが、お店側がプロデューサの川上さんと、チーフマネージャー(?)の大森さんにビールを持ってきました。二人は大人ですから飲んでも問題ないわけです(その後のスタッフとしても仕事との関係はあるにしても)。そのとき、川上プロデューサ自身がメンバーにビールを飲むことを勧めたのには少々驚きました。
確かに20歳を超えたメンバーが、誕生日にお酒を少し飲んだとか、ビールを飲んだら寝てしまったエピソードはブログとかでも出ていましたが、まさかカメラの前でビールを飲むのを勧めるとは思いませんでした。

飲むと言っても、一口飲んだだけですが、20歳を超えても「幼い」「まだ子ども」というイメージの強い、ももクロのメンバーがビールを口にするシーンは、それなりにインパクトがあると思います。一部にはこの飲酒シーンについて批判も出ているようですが、大半のモノノフは驚きながらもメンバーがビールを飲むシーンを楽しんだんじゃないかと思います。「いつまでも子どもだと思ってたけど、もう20歳超えてるんだなぁ」なんて感慨を持った人も多かったんじゃないでしょうか?

私が驚いた核心は「プロデューサがビールを飲むシーンを見せてもいい」と思っていたことでした。「こんなことくらいでモノノフは失望しない。むしろネタとして楽しんでくれる」と思っているんだと思いますし、実際大半はそういう反応だったと思います。
もうちょっと大人になれば、ビールのCMが来てもおかしくはないですが運営側がメンバーやモノノフに対して、どういう感覚で見ているのかを垣間見た気がしました。
▶ビール飲んでる(^^)

「それでも推しかぁい!?」発言

もうひとつ、今回のUstでは「縁結び」は一つのキーワードになっていて、独身女性の多いスタッフに良縁がありますようにとスタイリストの寄森さんが歩いて都内の神社をいくつも周り、ライブ会場の西部遊園地まで来るというのがサブストーリーとして設定されていました。この伏線は最終的にステージ上で寄森さんが公開プローポーズをサプライズで受けて、そのまま神父さん立会のもとの結婚式に雪崩れ込むという前代未聞のイベントになってゆきます。
寄森さんが各神社を回るときには必ず「玉井さんが一生一人でいられますように」と願掛けをするように言われていて実際にそうしたようですし、Ust中も何度もこのことは言われました。

これはメンバー内で誰が一番結婚しなさそうかという話題から、玉井さんが一番結婚しなさそうで、玉井さんが独身のメンバーやスタッフのために「玉ホーム」というのを建てて、みんなでそこに住もうという話から来ているものです。
玉井さん自身は一生結婚できないと言われるのは悔しいようで「見てろよ!一番最初に結婚してやるからな!」と言い返していました。まずここで「アイドル」が結婚するとかしないというのを、なんの躊躇もなく話していることが驚きです。特に玉井さん以外の4人は「私たちは結婚するから」というのが前提になっている話題ですし。 ただ、そういうのを見ても特にモノノフは何も違和感を感じないであろうし、私もそういう話題で盛り上がって「わちゃわちゃ」しているのを楽しんで見ているだけでした。

で、この流れは最後のライブにも引き継がれます。
「玉井さんが一生一人でいられますように」というのに、他の人より黄色の玉井さん推しの男性が強く反応していると言われて、玉井さんは「それでも推しかぁ~!」と舞台上で言いました。みんな大笑いなんですけど、よくよく考えてみると玉井さんのファンが、玉井さんが一生ひとりでいることを願っても特におかしいわけではありません。玉井さんを「疑似恋愛」の対象として捉えている人にとっては、むしろ当たり前です。
でも玉さんは「私が結婚できるのを応援するのがファンでしょう!」と言い放ったわけです。自分が「疑似恋愛」の対象として誰かとリアルな恋愛をしてはいけない、そういうことをしていても知られてはいけない存在だとは、どうもこれっぽちも思ってないようです。
おもしろいですね。
▶玉さんの「それでも推しかぁい!?」発言

偶像ではなく実像を愛するモノノフたち

運営も含む、ももクロ側の自己認識とモノノフの関係性はとてもユニークだと思います。
作られた可愛さはいわば虚像であり、虚像は年月を重ねればいつか崩壊します。偶像としてのアイドルであることを、ももクロには誰も求めてはいないわけです。
むしろ本当のももクロ、オモテウラのない「実像」を見せるし、それを見たい楽しみたいというのがモノノフなんだと思います。
24時間Ust内では「アイドルサミット」という、スターダストプロモーションの各アイドルユニットのマネージャーが集まって話す企画がありますが、その中でエビ中のマネージャーである藤井さん(通称、校長)が「永遠の可能性があるのはももクロだけ」と発言してました。続けて「 たとえばこの後も長く結婚しても続けられる可能性があるアイドルっていうか。その使命を持ってやってるのって、あなたたちだけなんじゃないかと」と語ります。
▶アイドルサミットでの藤井校長の話
これを聞いて想いを同じくしたモノノフもいっぱいいたと思いますが、やはりこれは「虚像としての偶像アイドル」ではなく「実像で勝負するアイドル」だからこそ「永遠の可能性」を持っているんじゃないかと思うんです。
彼女らの実像が、今のまま誰にでも愛されるものであり続ける限りは。人を笑顔にできる奇蹟の5人である限りは。
モノノフは、そうであってくれると信じているし、そうであることを真剣に信じて取り組んでいる運営スタッフがいるのはとても心強いです。

偶像化しないアイドル~24時間Ustを見て” への1件のフィードバック

  1. 素晴らしい記事です
    全くもって同感
    彼氏とかできたらUSTで発表してくれれば喜んで祝福するよ
    先に週刊誌にスキャンダルやられるとイメージ悪いから自ら発表していくスタイルでいってほしい
    これからもありのままのももクロちゃんを応援していきます。

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